しつこく第1スラブ ハイライトルート
|
「今月中にもう一度、自分を確かめてみたくて・・・」と、熊本のじんさんからメールが届いた。ひな祭りクライミングで、ママと3人で楽しんだ?3KNスラブルートだったが、なにか疑問符がついたみたいだ。当たり前だろう・・・、こうして登っている私自身、その楽しみとか未だに判らないまま比叡に来ているのだから・・・。
本当は、今月から小松の親分と未踏ルートの初見での挑戦をするつもりが、イレギュラーな勤務先の休日シフト変更で、いつもの水曜日でなくなり都合が合わなくなっていた。岩に触れたいばかりに、ママを誘って来るものの私の登れるルートは限られている。でも、パートナーが変わる事で生まれてくる変化も大きい。9日、とうとうママが1スラノーマルを登った。ノーマル核心のカンテV−もなんとかクリア出来た。そして、私はママのビレイで、安心してリード出来た。
|
|
|
|
|
1Pは、2スラ方面へ直上
50mロープを延ばす。快適。
|
じんさんも、危なげなく
1Pを上がって来た。
|
|
|
|
|
カンテV-のリード中、下を写す。
コラッ!ちゃんと上を見るのだ!
|
亀の甲スラブ
|
|
カンテのV−も、亀の甲のクラックからバンドに移るところも、スムーズな登りである。怖くないか聞くが、ロープの安心感が大きいらしい・・・(^^;)。その先で確保しているのは水流ちゃんなのだが・・・(^_^ゞ ん?判ってるって・・・そりゃm(_ _)m
順調なペースで、ロープを伸ばしピッチを稼ぐ。岩場に咲くミツバツツジのピンクが、のどかな気分にさせる。
|
|
スーパーの核心V+を登るじんさん。
|
|
あと2Pを残し、テラスに立った。ママと登った時、終始ノーマルルートをたどり終了点を迎えた。今回のじんさんの登りを見ていたら、スーパー核心のV+でもいけそうな感じだった。しばし、迷うが意を決して
「こちらへ取り付くよ・・・。落ちるかも知れないから、しっかり頼むよ!」
と、伝える。返事をもらう前に、私の体は右へ動き始めていた。正直、怖くて自信がなかった。正直、本当に落ちるかもしれないと思っていた。でも、この核心を左に避けて自分自身が、それでいいのかと思うことのほうが辛かった。じんさんには申し訳ないが、2月に成功させたこのピッチを逃げるわけにはいかないと思っていた。
何度も足がずり落ちそうになった。ヌンチャクを摑んでしまった。ピンに立ってしまった。からからになった喉・・・、泪目になっていた。核心を抜け、下を見下ろした。不安にさせてしまったのではないか・・・、気になっていた。とても格好悪いが、ロープにだけテンションかけずに済んだ。
|
|
|
核心のピッチを抜け、1Pを残すのみ・・・。ウィニングランではないのだが、とても気分良くガジカシ登れる最終ピッチに悪魔は潜んでいた。
上の写真を見て欲しい・・・。右手の指をチョイと引っ掛け、引きつけた瞬間「岩が剥離」したのだ。少し体重をかけすぎた私のバランスは、後方に剥がされ1m50cm程ズリ落ちてしまった。傾斜の緩いピッチだったので正対のままズッた。なんとか両足で持ちこたえる事が出来た。基本の3点支持が出来ていない証拠である。きつい戒めの最終ピッチとなってしまった。「アッ。」と叫んだ私の声が、じんさんに届いたのだろう「びっくりしたぁ!」という声が返ってきた。
|
|
|
|
|
終了点を迎える。
|
ミツバツツジ
|
|
|
終了点で、昼食にした。弁当を食べながら、心地よい風が吹いていた。自分のクライミングを確かめたいと、比叡にやってきたじんさん・・・、何か答えが見つかっただろうか?私は未だにクライミングの「怖さ」と「魅力」の波間に漂っている。
下降路まで、補助ロープでつながり移動した。じんさんは、途中で電話が鳴り、娘さんと話していた。その会話は、もう自分を確かめるためにクライミングをしている彼女ではなく、娘の母である彼女であった。下山し帰り支度をしながら、「さぁ、帰って夕食の準備をして、野球練習に行ってる息子を迎えに行かなきゃ・・・。」と、日常に戻りながら家路についた。
まだ、車窓から吹き込む風は、心地良かった。
|
|
登山日記のページへ
|
6:40自宅発----8:45駐車場到着----9:50登攀開始----10:55亀の甲前のテラス----13:00登攀終了----昼食----13:30下山開始----15:30下山--------16:50自宅着
|