水流渓人レポ 古墳祭り「炎の祭典」宮崎県西都市(西都原古墳群)

2002年11月2日

  
 ニニギノ尊とコノハナサクヤ姫が葬られたと伝えられている
西都原には、三百十余基の古墳があるとされ、国内屈指の古墳群といわれます。

 西都原は室町時代末期頃から斉殿原(サイトノハラ・ツキドノハラなど)と呼ばれ、祭祀儀礼を行う信仰的な場だった様です。
 西都原近くの
三宅神社は、6月に「天孫降臨祭」、8月に「国家安穏祭」、10月に「山稜祭」を三大祭とし、600年前の室町時代から地元の人々が古墳を祭っています。それから、古墳を祭る儀式は、古墳の築かれた1700年前から行われていたと言われています。

 今では、この祭りも「西都古墳まつり」として11月の第1日曜日に開催されるようになり、前夜祭にニニギノ尊・コノハナサクヤ姫の神話をなぞらえた舞【炎の祭典】や1000人を超える参加者がたいまつ行列なども行っています。
 この物語は、711年9月、太安萬呂(おおのやすまろ)と稗田阿礼(ひえだのあれ)の二人によって記された「古事記」にあります。

 

 

そして・・・

 

 

 ニニギノ尊は、天照大神(アマテラスオホミカミ)から「葦原(あしはら)の中国(なかつくに)を治めよ」と命をうけ、多くの供をつれ高千穂の峰に降り立ちます(天孫光臨)。その後、永住の地を西都原台地と定め、逢初川(アイソメガワ)で水汲みをしていたコノハナサクヤ姫と運命的な出逢いをすることになりました。

 この日から、ニニギノ尊の想いは、強くなるばかりです。それはコノハナサクヤ姫も同じ気持ちであったようです。とうとうニニギノ尊はプロポーズをしますが、コノハナサクヤ姫の答えは、返事は父から・・・と言うことでした。
 そこで、ニニギノ尊は姫の父・大山祇命に会い、「結婚をさせて欲しい!」と申し込みます。大山祇命は「私と力比べをし、勝ったら結婚を許そう!」と言い、
鬼の窟へニニギノ尊を連れて行きました。
 大山祇命が窟の石をひとつ抜き取って、北に投げ飛げると石は坂の上で止まってしまいます。次にニニギノ尊がひとつ石を抜き、投げると坂の下まで飛び、勝負に尊は勝ちます。ようやくふたりは結ばれる事となったのです。
 この時に尊が
投げたという石石貫(いしぬき)神社の参道入口に置かれ、石貫の地名の由来となりました。、また鬼の窟の石室の石が欠けているのはこのためだとも言われています。

 
 

 

 ニニギノ尊とコノハナサクヤ姫は、事勝国勝長狭命(コトカツクニカツナガサノミコト)を、日本で最初の仲人に、めでたく結婚。そして、二人が最初の夜を過ごしたのが、そばに【逢初川】(あいそめがわ)が流れる【八尋殿】(やひろでん)です。
 しかし、幸せは束の間のことでした・・・・。一夜明けるとニニギノ尊は、反乱を繰り返す部族討伐のために戦場へと旅立って行ったのです・・・。

 

 
 
 

 

 数ヶ月後、ニニギノ尊は無事に帰還します。コノハナサクヤ姫は喜びにふるえながら、尊の子どもを身篭っていることを告げると、ニニギノ尊の態度は一変してしまいました。コノハナサクヤ姫を疑い「たった一夜限り・・・。それで身篭るなど、その子は私の子ではない。」と怒ったのでした。戦場の夫を思い、お腹で育つわが子の成長だけを支えに生きてきたコノハナサクヤ姫にとっては、大きな哀しみでした・・・。 

 

 コノハナサクヤ姫が臨月を迎えても、ニニギノ尊は疑いは深まるばかりでした。出産が近づいた時、コノハナサクヤ姫は命をかけて自分が潔白であることを証明します。産屋に入った姫は、出入り口を塞ぎ、「もし、生まれてくる子がニニギノ尊の子でなければ、私も子どもも焼け死ぬことでしょう。」と、火を放ちました。
 燃えさかる炎・・・。そして、産声が響きました。コノハナサクヤ姫には無事元気な3人の男の子が生まれたのです。ニニギノ尊の疑う気持ちが晴れたのは、言うまでもありませんでした・・・。

 

 

 

 

 

 生まれた子どもの産湯を使ったところが【児湯の池】、子どもを育てたところが【童子丸】、石貫神社から児湯の池へと来ると、その先に、コノハナサクヤ姫が子どもを生んだ伝説の地【無戸室(うつむろ)】跡があります。火柱殿(ひじゅどん)とも呼ばれています。 

 3人の皇子、ホアカリノ尊は釣りが上手で海や川の神様「海幸彦」、弟のヒコホホデミノ尊は「山幸彦」と呼ばれていました。兄の大切にしていた釣針を失った山幸彦は、海辺で釣針を探しているとき塩土翁(シオツチノオキナ)と出会い、海神国まで探しに行きます。そして、この国で豊玉姫と結ばれ、間に生まれた子どもが、ウガヤフキアエズノ尊で、その子が神武天皇であるカムヤマトイワレヒコノ尊です。
伝承の地「記紀の道」をたどる・・・

 

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