水流渓人「hot-news」

2003年10月29日 「比叡I峰/ナックルスラブルート」宮崎県

 
  

取り付きは「TAカンテ」「3KNスラブ」ルートと同じ・・・
水曜登攀隊は、今日も初挑戦ルートをわくわくしながら取り付くのだ

 
 10月は4回目の比叡でのクライミングだ。山の会の先輩達に連れて行ってもらうクライミナグでなく、小松の親分とルート図頼りに「あーでもない。こーでもない。」とファインディングするクライミングは実にわくわくする。・・・その分、達成感も大きい。
 自宅を5時半に出発する。国道10号線に出会う頃、空が明るくなる。尾鈴の山塊を左に眺めながら、日向市美々津を通過する頃、日の出で朝焼けが海を染めていた。道の駅で小松の親分を同乗させ、いつものコースをたどって比叡山の登山口となる駐車場に到着した。
   

1P取り付きの名物3本ハーケン! 空は青いぞ!
 

 岩登りは、技術もさることながら、比叡の様な200b以上のロングルートやいつもの初挑戦のルートとなれば精神的な面も大きく左右されてしまう。岩登りの価値観や嗜好は、個人的に差があるが、やはりロープを結ぶパートナーとの相性や当日の気持は合致させておくに限ると思う。ルート決めや手順やタイム的な打ち合わせを会話に混ぜながら、ルート下部のウォーミングアップ用ゲレンデから取り付くことにする。「じゃ、今日は軽めにナックルスラブにしましょうか。ノーマルの方で・・・。」と、再度確認をして登り始める。
「軽く・・・。」なんて言いながら、TAカンテの取り付きのIV+はいつも緊張させられる。かぶり岩からフェースに出て、直上の一歩が「ウッ!」と思う。過ぎればグイグイで松の木着。2Pたまのリードも藪山さんのページでIII級表示だが、日本の岩場ではIV級。階段状の簡単なスラブからチョビバランスで10pほどのテラスが平行ピン。ザイルは30b出ている。

たまには水流ちゃんリードもあるのだぞ!

     

2Pは結構シビアなIV+なのだ。 おっと、ルート違うぞ!と下降してきた。
       

 続いて3P、段違いを2箇所乗り越す所が微妙・・・「これがIV+はないだろー。」とお互い話しながら・・・、まだテンション低下気味の会話が続く。かぶり岩の黒くなったスラブをトラバースするところで、少し躊躇する小松の親分・・・、お互いいつもの初トライなのでルートは半信半疑のクライミングなのであり、たぶん2度目にはIV+は納得なのだと思う。立木でビレー。ルート図を確認しながら、「こりゃ、真剣にならんと難しいゾ!」と、小休止。行動食と水分補給で気分を入れ替える。
 続いてIV+だが、松の木の隙間から岩場に這い上がるのか、ツルンとしたスラブを右にトラバースして直上するのか迷う。ブツブツいいながら、先ほどのIV+の難しさから言えば、直上ではチト簡単?などといいつつ右へ出る。ホールドも少なく、ピンもない。悪戦苦闘で小松の親分が視界から消えていく。しばらくすると、藪。そこを抜けると「奧の細道」の簡単なスラブへ飛び出した様子・・・。たっぷり時間をかけて懸垂下降してきた。再度小休止・・・。ビレーの私は休みっぱなしで申し訳ないというか、楽しそうな小松の親分と対照的にまったりとしてしまう。よく見ると、松の木の左正面に、立派なRCCボルトが「ここですよー!」とばかりにピカピカ輝いて打たれているではないか・・・。「だよなぁ・・・。」「そうそうこれぐらいがIV級だよなぁ・・・。」と、フレンズセットの練習をしながら登る。

  
えー眺めじゃのぉー!
 

ナックルピークへの核心ピッチ
 

 そして、素晴らしい展望の最終ピッチがやってきた。見上げるとナックルピークが青空にそそり立っていた。紅葉と青空と素晴らしいスラブが見えていた。ナックルピークへは、よく見るとピンが誘うように3本見えている。もっとよく見ると右奧に間隔の近い白ピン・・・難しい「FYKルート」も見えている。気分を盛り上げながら、ルート核心となるV-級のスラブ登りを堪能した。絶好の高度感と、小さいカチホールドを拾い登る。いい緊張感である。そして、ルート読みの醍醐味もプラスされ、終了点を迎えたときには「いいルートやったねぇ・・・。なかなか簡単にはいかないなぁ・・。」と苦笑いをしていた。満足の表情で記念写真を1枚。

   
核心の途中からパチリ! 終了点の紅葉と・・・。
澄み切った空気は、眺望も最高に演出してくれた。
 

 展望所へ行くと、平日には珍しく女性5人グループのハイカーと会う。悲しいかな、手に手に植物を採取(盗掘と言った方がふさわしい)し、楽しそうに下山していった。疲労感と開放感に浸っていた私達は、その光景で一気にムッとした昼食になってしまう。日南市から来られた赤いハイラックスの登山者だった。そんな意識の低い登山をされている方達がいることが、少し悲しい気持となる。じゃキノコはいいのか?岩に穴を開けてピンを打ち登るクライミングはいいのか?木の根を踏みながら歩くのはいいのか?となるのだろうか・・・。山は、何かを犠牲にして人間に恩恵を与えてくれているのかなぁ・・・と思うと、感謝する気持ちを忘れるわけにはいかないと思った。

 
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5:30自宅発----6:20美々津道の駅---8:30比叡・登山口--9:00登攀開始--12:50登攀終了点----昼食---13:30下山開始------14:00下山終了----16:20自宅着

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