2003年10月8日 「比叡クライミング/奥の細道ルート」宮崎県
前夜の雨・・・、でもネットのポイント天気予報は有難い。明日もここらは午前中が雨だが、なんと比叡は今夜も明日も曇り・・・そして午後から晴れである。しとしと降る中、夜の10時に小松の親分から確認の電話が入るが、当然GOで話がまとまる。 朝5時半に自宅を出る。ワイパーが必要だ。いつもの待ち合わせ場所「都農神社」へ向かう。先着している小松の親分が、元気良く右手を上げた。ずっと室内・自然のボルダーでの練習を欠かさない小松の親分の姿勢には頭が下がる。私の腹見て、少しトレーニングを・・・と「キャンパスボード」を進められてしまった。以前、近くの大学の室内壁を触らせて貰ったとき、握ると私だけホールドが回転してしまう1個があった。ルーフを挑戦したときであるが、悲しい結果に終わったのは言うまでもない・・・トホホ。 さぁ、本日は前回コースミスした「奧の細道」への初挑戦である。前回の間違いで、最奧ルートが明確になり、比叡1峰南面のコースがある程度掌握できた。アプローチをヒィヒィ登るより、下部4級をウォーミングアップ代わりに、ここは私のリードで登り、ブッシュを抜けて取り付きへ至る。お互い顔を見合わせ「ここだ!」と、ルートを見上げた。ルート図に「右5級、左6級」と書かれている。もちろん、狙いは左となる直登の6級・・・、小松の親分はこだわって左コースの岩をイメージしている。
「行きます。」最初のピンにプロテクションをとり、ホールド・スタンスを探す。グレード落ちをきにする余りピン左を登ろうとするが、まったくノッペリの岩に歯が立たない。何度もクライムダウンをしてトライするが、もう一度全体を見渡してコースを検討した。よく見ると、ピン右上に薄いホールドがある。そこに両手をかけ、高い左スタンスへずり上がることが出来れば乗り越せそうだ。しかし、右足にスタンスは無く、スメアで立ち込む以外は無いようだが、もっと右に打たれてあるボルトを見れば、5級はそっちの方である。妙に手に汗をかくと言いながらも、しばらくして豪快にずり上がり左上へ抜けていった。ロープが30b以上出た所で、松の木をビレー点とし私も続く。 私の場合は、特筆すべきものではないが、核心の乗り越しに【ホールドを両手で握り、右足のスメアを信じて左の高い位置のスタンスに左足を伸ばすが届かず、丁度そこにピンがあったので、ヒョイと乗っかると核心が終わった( ;^^)へ..】・・・ホラ、キカナイホウガヨカッタジャン(-_-;)
傾斜はきつい。2ピッチ目は、少し左の松の木から出たしとなるので、微妙なバランスでコースへ乗る。ピンに導かれ直上するが、実に本当に細かい細かいカチホールドである。厳しいが、少し湧き出る楽しさもある・・・ってなルートだ。直上に行き詰まる頃、左にフレークが出てくる。微妙にトラバースしながらフレークの角を握るとホッとするが、まだルートの2/3。次は右にトラバース気味に出て直上で2ピッチ/5級+が終了する。45bにも及ぶ、緊張の連続と、ホールド・スタンスを探していく様は、極上の推理小説を読みふける感動にも似ていた。
ここに来ると、雨を心配した朝はウソの様に、青空が広がっている。傾斜の落ちた快適なスラブを、笑顔でワイワイ言いながら稜線に抜ける。緊張の前半2ピッチは、快適な後半3ピッチをより満足な仕上げとさせていた。ルート通りに登れた満足感と、緊張からの開放感は、そこを登りつめたものだけが味わえる一時である。理由は無い。比叡のルート1つ1つに、強い思い入れがあるのではなく、どれも捨てがたい魅力的なルートを、今日も1つたどって稜線に抜けることが出来た。それだけでいい満足感なのである。おそらくこれからも何度も訪れる稜線だと思う。そこへ行きたい・・・というのでなく、どこを通ってそこへ行こうか!と言う強い憧れが、今の私のクライミング感なのだ。比叡山と鉾岳には、たくさんの素晴らしいルートが開かれている。他に目を向けるには、しばらくは私には無理かも知れない。素晴らしいルートに思いを馳せ、仲間と緊張のローをつなぐ・・・。「登った者にしか判らない風に、しばらくは包まれていたいのである。」
次は、どこ登ろかぁ・・・・・(^_-)db(-_^)
5:30自宅発----6:10都農神社---8:00比叡・登山口--8:30下部登攀開始--8:50奥の細道取り付き--11:15登攀終了点----昼食---11:55下山開始----ニードル基部--12:30下山終了----麓屋----門川温泉----16:00自宅着
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