水流渓人「hot-news」

2003年10月1日 「比叡クライミング・検証/赤い糸伝説」宮崎県

とおとお・・・ママが岩登りをしたぁ・・・。

 
●はじめに・・・●
 この記録が何を現しているのか・・・、何を言いたいのか・・・、得てして水流渓人のレポが表題とは関係なく、また純粋な岩登りの記録でもなく、好き勝手に書いていることはいつものことであり、書き手がそんな感覚で一気に書き下ろしていることなので、読まれる方が自由に解釈されても構わないのであるが、女房は前夜まで「岩登りは、今の私には無理た゜から、歩く程度にして欲しい・・・。」といい続けていたものを、まったくもって私の「わがまま」と「スネ夫変身」で、無理矢理強行した記録なのである。間違っても、記録参照に計画をされるような事は、ご遠慮願いたいのであるし、どの山の記録を見ても、普通の登山者の1.5〜2倍の歩行時間を要する体力のママが登攀を行ったのであるから、彼女は普通の登山者の何倍もの体力が必要だったわけである。じぁ、どうして登り切る事が出来たのか?であるが、それは彼女の精神力の強さであり、私への信頼(格好良過ぎるカァ(^^ゞ)なのである。
 当日の朝、私は軽い山歩き程度のいでたちで、荷物も簡単にリュックに詰めて家を出ようとしていた。ママの口から「あれっ、比叡じゃなかったの?」と声が出た。嬉しさもあったが、モードはまだ岩登りの高ぶりでは無く、登攀用具を積み込み車を走らせながら気分を高めて行った。ある程度の覚悟をもって向かわないと、私には経験も技術も低いものであることは判っている。判っているが入門ルートとなる「TAカンテ・ルート」を確実にリードし、ママを登らせ、二人とも無事に子供達の所へ帰ってくることが必然である。
 

ルート下の最下部からスタート 以外に、素直に登ってきた。
  

★登攀★
 私は、彼女がどんな思いで取り付きへ来たか理解する必要があった。決して彼女の意思ではないクライミングに、私のわがままだけで連れてきた訳である。そして、それは何を意味するかも把握し直視しなければならない。これから始まるクライミングに、すべてを私にゆだねているのは紛れも無い事である。
 ロープをハーネスに結びながら、私の説明に対して「ハイッ。」と、駆け引きの無い返事が帰ってくる。ルート下のピッチから練習のつもりで登り始めた。「ビレイ解除。」と声をかける。「ハイッ。」・・・しばらくして「ビレイ解除しました。」と声が返ってくる。ロープを引き上げる。「ザイル一杯!と言えよ!」「ハイッ。」・・・「上がってよぉーし!」・・・元気な顔でママが上がって来た。その時、私はルートに出ても大丈夫と確信した。

 

下部の練習ピッチを終えたママ

   

1Pの核心を攀じる 登り上がって来た。
     

 入門ルートとなる「TAカンテ・ルート」の1ピッチ目。私の登りはぎこちなかった。正直、核心のフェースが怖かった。何度も登っている。でも、怖かった。下にいるママを安心させる登りでなくてはならないのに、内心ビビッていた。気持ちがだ。体は、いつものようにスッと抜け、核心の上のピンにフィックスロープをぶら下げた。ママの怖さを少しでも回避できるかなと思ってだ。松の木の終了点へ抜けた。
 ママへ登るように声をかける。「行きます。」と聞こえた。私は、抜き上げんばかりの力でロープを上げた。核心の手前で、少しレストさせる。ママの動きを見ながら、ロープの加減を調整した。登っているママより、私の方が興奮していたのかも知れない。登りあがってきたママから、「そんなに引っ張ったら、まったく自分で登っている感じがしないよぉ・・。」と、生意気な事を言われた。我に返ると、ロープを握り締めていた手のひらが真っ赤になっているのに気付く。
「はぁー、喉カラカラになったわぁ・・・。」と、ママ。
「もう、ここからは楽勝やからな。」と、私。

 


2ピッチ目のトラバース

 

カンテを行くママちゃん43号・・・号であり歳ではない(^^;)

 

●カンテを攀じる●
 秋の風より、日差しの強さが印象的だった。レポートの題を「赤い糸伝説」などと格好つけて書いてみたが、カンテに取り付いてからは、私は楽しくて嬉しくて仕方なかった。快適にピッチを重ね終了点へたどり着いた。すがすかしさと、今まで感じたことの無い、異質の達成感に包まれていた。
 ママ手作りの弁当を食べる。「もう、田んぼのお米が黄色く色づいてるね・・・。」とママが言った。そうやなぁ・・・と思った。登攀後の景色を眺めながら、子供達の話や、日々の会話をする。こんな所で・・・と思うが、それが当たり前のようにスゥーッと周辺の空気に馴染んでいるから不思議だ。「どうだった?」と、クライミングの事をたずねてみた。「んー、判らん!」と返事が返ってきた。「もう嫌だ」とか、「面白くない」と言われなかっただけで私は満足だった。

 
  

ほら、「赤い糸」で結ばれてるっ(^_-)db(-_^)

           
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8:10自宅発----10:30比叡・登山口--11:00登攀開始--11:40TAカンテ取り付き--14:10登攀終了点----昼食---15:10下山開始--15:55下山終了----18:30自宅着

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