水流渓人「hot-news」

2003年9月10日 「比叡山/ニードル」宮崎県

朝靄に包まれた比叡1峰・・・・・

母ちゃん・・・、ワシゃ感動したぞ(^_-)db(-_^)
南側の駐車場からのニードル
まさに比叡T峰のシンボルである。
西側の千畳敷からのニードル
A峰に取り込まれ1つの壁にしか見えない。
   

 
 
県内全域「雨」予報だが、日之影のポイント天気予報だけは、曇りのマークである。前夜、ついに小松の親分からの中止電話は入らなかった。就寝前、あわててクライミング用具を準備する。
 翌朝、3時40分に起床、待ち合わせ場所5時なのでバタバタと準備する。ひょっとすると休みなので同行するかも??と言っていた、ゲジ眉崎さんが自宅前に待機していた。突然の参加で、より心強くなる先輩である。去年、私を鉾岳「大長征ルート」に案内してくれたINAさんが会長を務める兄弟会「宮崎岳朋会」の精鋭である。
 
 比叡の駐車場に到着し、準備してきた双眼鏡で岩場を眺めるが、浸みだしも少なく曇り空でも気分的に明るくなった。早速、身支度を整えているとポツリポツリ雨粒が落ち始めた。「どこを登りますか?」と、小松の親分が尋ねる。私は、一番下手で未経験なので、ルート選択の話には加われるはずもない。引かれたロープをたどるのみである。「ニードルにしようか!」ゲジ眉崎さんの決断で、取り付きへ向かう。
 ニードルの取り付きは、比叡神社横を通り抜け、千畳敷から一般登山道と別れる。急登10分程度で、基部となる岩が立ちはだかる。左にトラバースしながらニードル左岩稜の取り付きへたどり着いた。いつもの様にハアハアゼーゼーの私・・・、いつものように薮蚊に襲撃される。取り付きから見上げる顔に、まだ雨粒が叩き、湿った岩が一層恐怖心をかき立てる。
  

取り付きにて、ロープを結ぶ 1Pをリードするゲジ眉崎さん
   

 1ピッチ/W・・・ゲジ眉崎さんがリードで登る。雨でフリクションの効かない岩に苦戦しながらも、慎重な安定した登りでビレー位置へたどり着く。2番手は小松の親分。わけなく登る。そして、3番手・・・私・・・という間もなく、湿りへの恐怖でカラビナを掴んでしまう(^^ゞ。体重の移動も変な感じだ。トップロープなのだから、思い切り行け!と何度もつぶやく。どうしても自分がリードするときの状態を想像して恐怖心が増す。W級??と疑いたくなるほど、傾斜は急だ。なんとか草付き近くになりいつもの登りとなる。登ってしまえば口だけは強気である。(^_-)
 

 

2Pを見上げ、初見リードに闘志を燃やす小松の親分
 

 2ピッチ/Y−・・・本日の予定ルート、頭までの3ピッチでは最高グレードとなるピッチである。初見リードに鼻息の荒い小松の親分がリードで取り付く。ここは、名物「残置フレンズ」のある傾斜のきついフレークを直上し、指の入らない狭いクラックをハンドトラバース気味に凹角に移れば核心は終わる・・・・・のだが、残置フレンズからがとても難しい。しかし、小松の親分は、なんと完全にフリーで突破した(上写真)。見上げていて興奮した。
 続いたゲジ眉崎さんが、ブランクがあったクライミングだったのか少し苦戦している。何度かクライムダウンの後、クリフハンガーを細いクラックに噛ましスリングアブミで乗り越した。見ていて私が困難なのは歴然としていた。素早く、アブミをリュックから出し肩にかける。とにかく、いくらリードが上に行けても、フォローが続かなければ、登攀は成功しない。折角の小松の親分の登りを敗退には持っていけないのである。何が何でも上に行く!と、覚悟を決める。
 高度感と、傾斜はいままでにない体験だ。フレーク下に登り、いよいよスタートするが、どうしてもその上へ行くホールドもスタンスもとれない。フレークに手を入れ踏ん張っても、微妙に上へ行けないバランスである。残置フレンズまで届かないのである。2度挑戦してダメ・・・、ウデの力温存で考え方をすぐ変える私である。技量で登れないものは、工夫で登るしかない。フレンズにアブミをセットし、さっさと上がり残置フレンズに付いているスリングを掴みスタンスを安定させた。細いクラック・・・見て驚いた。本当に有効なホールドには見えなかった。ゲジ眉崎さんに残してもらったクリフハンガーのスリングアブミに全体重を乗せ、右のホールドを探る。どうしてもホールドらしきものを見つけられない。スタンスは右足を乗せる大豆サイズの突起を見つけたが、左のホールド無しには乗り越えることが出来ない。右奧の草付近に手を入れてると、第1関節半分ほどの縦のホールドに手がかかる。ゆっくり右のクリフハンガーから右足の極小スタンスへと体重を移しながら、エイヤーで前に出る。乗り切れた!嬉しさと恐怖とで少し震える。深呼吸をしてビレー位置まで楽しんで登る。「オーイ、そのきらきら光った魚体みたいなのは何やー?」と、私のアブミを見つけたゲジ眉崎さんが叫んだ。苦笑いしながら、クリフハンガーの事を小松の親分にバラしてやる。笑いが絶えないのは、皆が乗り切れた充実感なのだと思う。

*2日後、ゲジ眉崎さんは「クリフN崎」と改名したいとメールが届いたが、「ゲジ眉」を省くと、長い宮崎の登山史を変えてしまうこともあり、今後、「クリフ@ゲジ眉崎」とすることにする。長いHNは書き手泣かせだが、古い付き合いなので仕方ない。先週は、INAさんと3峰「比叡の果て」も登っておられる・・・。今回は、忙しい仕事の中での「1日夏期休暇」での水曜参加だった。

 

パラついた雨だが、2ピッチ当たりから青空も見えてきた。左/矢筈岳・右/綱の瀬川
  

3Pのクラックを登る「クリフ@ゲジ眉崎」さん
 
いよいよピークが近づいた(^-^)

3ピッチ/X・・・いよいよここを抜けるとニードルの頭である。期待で一杯。小松の親分のリードで始まる。見えるところにまったくピンがない。大きなクラックから始まり、右のフェイスへ一度出て、右の握り拳ほどのクラックをつないで行く。直上10bがこのピッチの核心で、クラックにパワーのいる所である。小松の親分は、フレンズで支点を作りながら切り抜ける。それにしても強い傾斜に圧倒される。30bロープが出た所で「ビレー解除」の声。ゲジ眉崎さんが続く。3番手で私が取り付く。ギアの回収をしながらの登りは、この傾斜ではとても良い練習になった。初めて、本格的なジャミングを使った登りも体験した。直上の核心を抜けると、向こうにA峰の岩壁が迫る。四方展望が利く事は、正にあの尖ったニードルの先端に近づいている。実にいい眺めだ。少しぱらついた雨も2ピッチ目あたりから上がり、今は青空も覗いていた。写真を写してもらうのに、上からロープを垂らしてカメラを上げた。足下に綱の瀬川が広がる絶景の1枚を写せた。オッサン3人で、ニードルのピークでにやついているのは異様だが、実にさわやかな気分で、笑顔になるのだから仕方ない。
 

ピーク下の傾斜の緩くなった所で記念写真を1枚\(~o~)/

 

ピークの「小松の親分」と「クリフ@ゲジ眉崎」さんが手を上げた。
 

このかすかな尖りがニードルの先端d(-_^)good!!

   
ピークより懸垂下降

 本当は、「ニードル左岩稜」のルートは、ピークから一度15bほど懸垂下降して難しい2ピッチを登りA峰へ至るそうだが、決めていた通りここから谷に懸垂下降し登攀終了とする。
 下降終了後、ザイル回収しようとすると引っかかって「コノヤロ!」と言う場面もあったが、クリフ@ゲジ眉崎さんが、少しプルージック確保で登り返し外す事が出来た。
 後は、「昼飯だ!」と言いながら、一気に下山していたら千畳敷手前で大雨となった。ひどい雨だ。バケツをひっくり返す・・・という言葉そのものの降りに、岩の窪みで昼食を食べながら、登攀中て゜なくて良かったと胸をなで下ろした。1時半下山。

     
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4:30自宅発--5:00都農神社--7:00比叡駐車場--7:15入山--8:00登攀開始--11:40ニードルピーク--12:00懸垂下降----ひっかかったザイル回収---13:10千畳敷昼食--13:30駐車場着----門川温泉----17:00自宅着

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