水流渓人「hot-news」

2003年8月6日 「家族クライミング体験記in比叡」宮崎県

 
 今回は、でっかいタイトルで始まるレポートだ。先週の「
高千穂峰登山」に続き夏休み第2弾は、ママと4人の子供達に「クライミング体験」をさせる事になった。親父としては、この上ない満足感ではあるが、浅い経験・下手な技術なので、この上ない不安もある。山の会の師匠から「クライミングはリードする事にある!」と、完全無欠の体育会系意見を頂戴し、浅い経験でも初心者を連れて行く事で、自己のレベルアップが図れる!との言葉を頑なに信じての決行である。
 能書きをたれてはいるが、本心は家族の前で格好の良い親父のアピールなのかも知れない。子供達も「岩登り」なるものを楽しそうに語る親父に、
やってみたい!と日ごろから言ってはいた。叶えてあげたい親心でもある。重ねて、9月頃から取りかかる「自宅室内ボルダリングウォール(予算10万円)2700*2700サイズ」へ向けてのプロローグでもある。私の考えは、人工壁で経験してゲレンデへ・・・でなく、ゲレンデを体験して人工壁でどう練習するか!だと考えている。現在、知り合いのアウトドアショップに注文していた「FRANLIN社」のホールドが、90個ほど届いている。
 

 

 
 家族で岩登り・・・には、乗り越えないと「壁」がある。壁登りの前に「壁」があるのだ。
道具の壁
 
山登りはなんとかなっても、岩登りとなると「道具」によるものが大きい。安全を確保するためには欠かせないものが多い。
 
ハーネス・・・自分で2つ所有しているもの(フリークライミング向き・歩きやすい沢向き)を、私が1つ使用し、もう1つをママと長女中学2年生が交代で使用する。次女小学6年は、山の会のMサイズを一番小さい所にあわせて使用。長男小学4年も、山の会のXSサイズを使用。合うハーネスを準備できなかった次男小学2年は、メインロープを直接腰に巻き、スリング+カラビナで太ももへの体重分散をする。
 
ヘルメット・・・ママが私のものを使用し、長女がマウンテンバイク用のもの、次女・長男・次男は、以前カヌー用に買った万能?(安価)のものを使用する。
 
クライミングシューズ・・・「家族でクライミング教室をしたいっちゃがぁ・・・!」と、山の会の友達・私の師匠・・・川キョンに相談したら、なんと4足も集めてくれた。もらったわけだ!仲間に助けられての実施なのだが、本当に私は仲間に恵まれている。
写真(↓)の左から紹介しておくと、
 
左から1番目・・・頂き物・ボリエールのスリッパタイプ。前所有者は山の会M滝君で自分には小さいそうだ。水流渓人にはピッタリ、自宅人工壁で使用する予定だが、長時間は履けない。
 
左から2番目・・・ボリエールのちょい前は、人気のハイカットタイプ。足裏感は乏しいが、楽な履き心地!のはず。オークションで2500円で落札し、新品同様ではあるものの私にはきつくてダメ・・・。しかし、23.5cmの長女にはピッタリ。
 
左から3番目・・・いつも私が使っているボリエール・レーザー。
 
左から4番目・・・なんと、川キョンがきつくてくれたボリエール・レーザー。次女・長男には使用可能。私のものより使用していない。
 
左から5番目・・・往年のスボルティバ。川キョン修行時代のつま先擦り切れた1品だが、今回、長男が履く。
 
左から6番目・・・同じスボルティバ。こちらは山の会まハタハタさんが、もう使用しなくなったらしく頂いた。あまり使っていないので美品。今回、次女が履く。昔は、きついものを我慢して使用する習慣があったみたいで、子供達には楽に履けるみたいだ。
 
左から7番目・・・上級者の皆さんに人気のファイブテン・アナサジレースアップ。なんと新品同様を4800円でオークション落札した。オークションの掲載写真が不鮮明で、入札者も少なく安く落札できたが、届いたら驚き!裏のステルスC4の白文字も消えていないどころか、ほとんど使用されていない状態。ママ・長女にはぴったり!今回ママか使用したが、ステルスC4ソールが泣いていた・・・・。
 クライミングギア・・・ザイル9mm50m×2本(山の会より借用)、10.5mm50m×1本(自己所有)、ヌンチャク・ビレー用具・スリングなど(自己所有)
 

1家族だが、人数が多いと道具も多いなぁ・・・
さぁ、水流一家出動だ! ・・・取り付きまで1分(^^ゞ
長女のビレーで登る親父(@_@) どこに課題ルートを作るか見上げる。
   
 

 立ち木に支点を作り、フォールの時振られないように中間支点にもヌンチャクでザイルを通す。1箇所ヌンチャクからメインロープを外して上へ行くことも課題の1つとした。丁度、私が懸垂下降している下5mが核心となる。顕著なホールドとスタンスが少なく、傾斜が強い。皆が、どう登るか楽しみである。なんせ、初めての岩登り挑戦である。少し登れば、300mの高度感を背中に負うことになる。W級。

 

 長女@中学2年が登る。クラックの外から豪快に上がった。核心も少し躊躇していたが、思い切って上のホールドを取りずり上がる。(^-^)思い切りは良かったが、ロープダウンで傾斜の怖さを味わう。降りて握手の顔が引きつっていた。いや、親父との握手がイヤだったのかなぁ・・・q(-_-)bad!!
 

 次女@小学6年。取り付きはクラックの中を上がり、行き詰った所から、外に回りこむ・・・その方が難しいのだが、楽しむようにホールドスタンスを探すように登る。バランスがよく、遠いホールド・スタンスを取りに行っていた。体が岩から離れているので、下からあまりアドバイスをしなかったが、核心では何度もクライムダウンまでしてルートを探っていた。最初は時間がかかったものの、2回目を登ったときは格段に安定しスピードアップしていた。
 

 長男@小学4年。今回一番楽しみにしていた彼である。最初、核心で完全にヒビッてしまった。「ダメ!」を連発したが、「ガンバレ!」としか声をかけなかった。そして、ついに登り上がった。彼には何が見えたのだろうと思った。景色より満足より、「怖さ」が見えたのだと思う。ロープダウンでは、もっと怖がっていた。私の下ろし方が危ないのだ!と上から説教までしてくれた。「どうだった?」と聞く私に、「・・・」と無言ではあったが、2回目のトライでは少し余裕が見えた。余裕とは、慣れであり、努力であり、安全な事だと思う。日頃、水泳で鍛えている彼の腕力は、確実に成長している。格好よく見える登りは、私がすぐに追い越されることの証である。彼のリードで家族が登れる日が来たら・・・・、この上ないだろなぁ(^_-)〜☆
 

 次男@小学2年。登山靴しか合わない。ハーネスも合うサイズがないので、体重の軽さも考慮し、メインロープとスリングで確保した。5mほど登ってくれた。それでいいと思った。今回、私は彼がトライすることもなく止めるか?と思っていた。挑戦してくれた事だけで十分だった。
 

 この方の登場である。ママ@登攀不向は、ファイブテン・アナサジレースアップを駆使して取り付きはしてみた。しかし、彼女はスタンスもホールドも、すべてそんなものは「無い!」「どこにあるのだ!」と叫んだ。つま先では立てないと言った。じゃ、その靴はなんなんだ?と思うが、子供達もなんなく通過したところすべてを「核心」のこどく叫んでいた。
 ・・・そして、核心部に到着して「止めようかな?」「もう降りようかな?」「もう登れないかも?」と、「?」のつく言葉で叫んでいる。私に同意を求めているのか?岩場の「蝉」が鳴いているのか?と思うが、子供達の3倍の時間をかけて終了点でピースサインをした。ロープダウンで降りてきたら、「ほら、次は誰が登る?」「誰も行かんのやったら、もう一回お母さんが行くで!」と、子供達が返事をする間も与えないほどに、話と状況をまとめあげ登りはじめた。お前、本当に2回目か?と聞きたくなるほどのスピードと不慣れな登りで、そのステルスC4ラバーソールは、その効果も性能も発揮されることなかった。
 しかし、もう止める!と言い出すかな?と思っていたが、「また連れて行ってほしい!」と、控えめな態度で言う・・・くすぐったい。(^_-)〜☆
 


クラックを行く長男
 

 何を感じてほしかったか?まず、視覚である。「登る時の傾斜の感じ方」と「降りる時の傾斜の感じ方」は、まったく違うということ。しがみついて登ったものの、降りれなくなることがあるということである。登るときには降りる事を考えて登らなくては、山での危険度が増すということを体感してほしかった。
 続いて、チームとしての信頼である。初めてのクライミング体験で、私はあえて長女にビレーをさせた。中間支点でテンションをかけ長女に停止させてみた。結果、私の張ったロープと私のビレーを信頼して、安全に皆が登れた連帯感を忘れないでほしいと思った。
 そして、一番大切なことは挑戦もしないで自分を決めないでほしいと言うことだ。「まずやってみる」「チャンスがあればチャレンジしてみる」「やって損なものはない」と言うこと。このクライミングは、私も大きく感じたことだが、やってみるまではここまでしなくても、自分の登山のスタイルには影響はない!なんて固定観念もいいとこだった。経験することで、飛躍的に自分の登山への観念が変わる。安全への配慮が、より深くなると言うことだ。
 子供達それぞれにとって・・・、家族にとって・・・、何かの役にたってくれたらいいな!と思う。

 駐車場に戻り、道具を片付けていると雲行きが怪しくなった。車に乗り込むとザァーっと雨になる。五ヶ瀬川沿いを走りながら、子供達お待ちかねの「石並川」日向市へ向かう。到着する頃には、通り雨も止み日が差してきた。毎年の楽しみである飛び込み遊びができた。
 夏休み第2弾・・・「クライミング体験+水遊び」、親父としては大満足だぁ・・・と、帰宅してしみじみ思う(*^o^*)

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