水流渓人「hot-news」

2003年4月16日 「比叡1スラスーパー」宮崎県
【観音さまに見守られた村・西郷村・尖山/水流渓人】

 比叡南面の1スラスーパールートは、正規ルートを完全につないでいない。他ピッチをリードを出きるようにはなったが、あの去年の悪夢のフォール以降、チャンスもなかったが怖さも残っていた。今年のクライミングの目標を、ノーマル3PカンテX級と、スーパーのあそこのリードだと決めていた。
 去年の暮れから10年ぶりぐらいでクライミングを再開した、同山の会のコマツの親分から誘われての当日を迎えた。彼の復帰は驚くスピートだ。室内ボルダー練習も取り入れ、次々にリードクライミングを成功させ始めたたのもしい仲間である。「一度セカンドでお願いします。」「いいよ!」と有り難い日を迎えた。
 そして、3月にTAカンテルートで比叡デビューをした遊也さんもパーティーに加わった。前回の登りを見ていたら、長崎のJimnyさんの元しっかりとした技術を身につけていることが分かったのでお誘いした次第であるが、私の思惑はこの1スラ初挑戦で彼にリードクライミングも経験して欲しかったからだ。

そう、あそこっていうのはスーパーの核心X+のフェース

 今回のピッチ刻みとリード者
1Pスラブ〜草付き  50m  W級  Lコマツの親分
 コマツの親分の嬉しい勘違いで、1.5スラの取り付き方面へ草付きに入らす゛直上してピッチを切る。おかげて少しバランスを必要とするところがあり、Wのグレードが少し上がった?ウォーミングアップとなる。草付きを確保しながら10bほど下降し正規ルートへ戻る。
■2Pスラブ  40m  W+級  L水流〜コマツの親分■
 
一気に高度感が上がる大好きなピッチ。左へトラバース気味へ小さいテラスへ、平行ピンで私がビレーし遊也さんを迎える。3番手からコマツの親分はそのままさらに20b、2ピッチの確保点まで進んでもらう。
■3Pスラブ  30m  W−級  L水流■
 
ガシガシ直上の楽勝ピッチ。
■4Pカンテ?  15m  L遊也■
■5P亀の甲スラブ  30m  W+級  L水流■
 
いつも大好きなピッチ。クラックから重たい腹のゼンドウ運動で、がふり寄気味にバンドに乗っかる。スラブの乗り込み位置に長めのヌンチャクをかけると、後は快適な階段状・・・、眺めはバツグン!テラスからは、メインローブでのセルフビレーを長めにとり、下を覗ける位置で確保しないと声が届かない。
■6Pスラブ25mW+級 + スラブ25mW級  L遊也■
 
お約束の遊也さんのリードを、いつもの2P通して登るこのピッチで経験していただく。面倒だから2P通すのではない。ここは、通して登ると平行ビレーピンまで3bほど届かない。ならばとうするかの練習に持ってこいである。リードか安定出きる位置でセルフビレーをとり、セカンドを少し上のテラスへ上がらせ、また登る。

取り付き地点で準備する

2Pスーパーの中間刻み小テラス

  

 2Pの小テラスへ・・・、ホールドを探す遊也さん

3Pガシガシ登る水流ちゃん
  
6P比叡初リード遊也さん。問題なし! テラスをひとつ上に移動。リード中の遊也さん写す。
   
↓第2コブ岩横、核心のフェース
核心リードのコマツの親分 水流渓人
遊也さん

■7Pフェース  40m  X+  Lコマツの親分■
 ここは1スラスーパーの核心となるピッチである。コマツの親分もリードは2度めであるがまったく問題なくスルスル上がる。私にとっては、問題のピッチで、結局初めて登る事となる。前回は、初リード初挑戦で取り付いてルートをズレてしまいフォールしている。セカンドではあるが、取り付いてみれば右上斜めに走るクラック沿いに行けば、フォールした所はまるで勘違いなほど簡単に小テラスへたどれた。大きいクラックの裏からフェースに出る所まではしっかりしたホールドがある。核心はこのフェースに出てからであった。微妙なバランスと、逆送気味の岩で、ホールドが多種多様である。スタンスは少しのくぼみで耐えてずり上がれば、核心は終了した。私は3人の中間で登ったので、登る事よりトップロープを外し、下のロープをクリップする作業の方が辛かった。早く切り抜けたいと、支点を少し通り過ぎるとロープが外れにくくなり、一度ロープダウンしてもらい外す時は怖かった。しかし、なんとしてもノーテンションで登り、リードへのステップとしたかった。底を過ぎると快適になる。苦笑いでビレー点を迎え、登らせていただいたコマツの親分に感謝する事しきりである。後続の遊也さんも、時間がかかってもノーテンションで上がるスタミナはさすがだった。
■懸垂下降 8Pスラブ  40m  W− L遊也+コマツの親分■
 
核心の7Pを登り切ったテラスで、景色を見ながら遅めの昼食をとる。ここからは、練習も兼ねて「懸垂下降」で1P降りる。コマツの親分は、10年ぶりの懸垂だ!などと笑わせてくれる。こんな所でのイレギュラーな動きは、すべていい練習になる。そして、1スラのノーマルも1P、遊也さんに経験してもらう。3人揃ったところで、私ビレーで2人同時にリード。複雑な草付きが刈り払われスッキリとしている。第2コブ岩にはなはだ難しそうなルートが開かれている様に見える。
■9Pスラブ  W−  40m  L遊也■
 
最終ピッチを迎える。私にとって、初めてスーパールートを全部たどれた日となる。今年の目標が、このコースの全リードだと思っている。もっと確実な登りの為に練習しなくては・・・と思う。それにしても、1スラスーパーに初挑戦で、4ピッチものリートを体験した遊也さんは素晴らしい。いくらトップロープで登れても、リードは意味が違う、しかも、初めて登る所をリードで挑戦する・・・と言うことには、そのコースで一生に1回しかない訳である。価値も高いが怖さも凄いと思う。チームワークの成果だと思う。
 遊也さんの確保の中、私もコマツの親分も快適に終了点を迎える。握手。

   

7P核心を登り終えて 遊也さん、最終ピッチのリードに取りかかる。
   

モグラメガネの水流ちゃん

コマツの親分

  

 1スラを登ると、稜線をたくさん歩いて下降路へたどる。運動靴出歩くので慎重に歩かないと危険だ。道には薄紫のヒメハギが風に揺れていた。下山の苦手な私は、2人より遅れて千畳敷に到着した。遊也さんが満足そうにT峰を眺めていた。比叡神社の水をガブガブ飲んだ。暑い1日だった。

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