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闇の中で、子供は大きく成長するような気がした。風・・・、気温・・・、音・・・、匂い・・・、そしてライトの写し出す世界。ライトの写し出す世界は、当然手前がよく見え、次第に闇になっていく。恐怖心と好奇心、闇で光る薄明かりを恐怖心で受け入れると足が前に出なくなる。好奇心で注意深くのぞき込むと、耳をピョンとたてた可愛い鹿であった。子供達は、いち早く鹿だと見極めた。「お父さん、怖くない?」「怖いよ!でもみんなで居るから平気。」
石畳の遊歩道が終わる頃、溶岩混じりの急登になる。ガスが立ちこめたり、サァーッと満天の星空が現れたり・・・。足下だけを照らすライトを頼りに、中岳の山頂を迎えた。シュラフにくるまりながら、皆でパンをかじる。視線の端で何かが見えた。いくつもの流星に、声を上げた。初めて見た子供達は、興奮している。私は、流星よりここに6人で居る事を感じたかった。
沢山の流星を見た。
山頂で見た。
家族全員で・・・。
空が白んできた。
もうすぐ太陽が出そう、薄暗いシルエットの景色は素晴らしかった。
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